散漫

乙女ゲームの感想を書きます

そこで、暮らす -ブラウル WS BN 家族ルート-

BLACK WOLVES SAGA -Weiβ und Schwarz-
Bloody Nightmare
家族ルート(ネッソ、ザラ、ユリアン)の感想です。

※ネタバレです


◼家族ルート
双子によって崩壊していく国を見捨て、 狼種と手をとり運命に立ち向かうこともせず、ひたすらに大切な人との平穏を選び隣国へ逃れるルート。
いちばん現実的なルートだと思います。その過程で遭遇するそこそこの障害を乗り越えながら絆を深めるわけですが、ネッソとザラは元々家族なので初期値が高く、境遇にしてはゆるめな恋愛過程でした。ゲーム開始時点より前の日常、その延長という雰囲気。
誕生日パーティーのくだりは乙女ゲーぽいな~と思いつつ、逃亡中なのに意外と余裕あるな!?と笑いました。
まあ面子の2/3は内に狂気を秘めてるんですけどね……。それでも猫種ルートを考えるとまるで別のゲームのようです。ユリアン以外。ユリアン以外。

以下、キャラ個人とEDの感想。
ネッソgood→ザラbad→ユリアンbad→ザラgood→ネッソbad→ユリアンgood→ユリアンtrue
です。


◼ネッソ
血の繋がりは無いとはいえ兄妹なのに……という戸惑いは当然フィオナも抱いていて、けれどそれをあまり伝えないなあと思ったんですが、 たぶん考える時間がなかったからなんでしょうね。状況が切羽詰まっていて、きちんと考えを回す猶予が与えられていない。ネッソはおそらくそれを分かって仕掛けている(国外脱出が始まってから明らかに押しが強い)ので、たちの悪い男だなあと。
リジェの病みお兄ちゃんて、男性キャラにも人気あるんですよね。ザラとは長年の親友関係を築いているし、エルザからの信頼も得ていて、世間向けの顔が完璧。ヤンデレは狡猾……なんだなあ……。
けどまあ、実は身構えていたほどの「ヤバイお兄ちゃん」ではなかったです。他人に危害を加え……なくもないけど、あくまでフィオナに何かされたときに限るし、フィオナも強制的に監禁されたりはしなかったし……。元々がファンタジーで病弱な令嬢という特殊な環境なので、多少過保護でもそんなに違和感がないというのも大きいかもしれません。幼い妹が暮らすためだけの塔を作るよう進言するのも、よくよく考えると相当ではあるんですが。


・good
国境越え直前に襲撃にあい崖下に転落したふたり。その後仲間たちに救出されるが、フィオナを庇ったネッソは深手を負っていた。
脱出した他国でフィオナの看病を受けながら、傍にいられる今が一番幸せだ、墓まで一緒にいよう、またふたりの塔を築こうと囁くのだった。

わけわからんまま終生の恋人にされてた感がすごい……。
他の仲間たちはどう思ってるんだろう。
後日談も短いし「どちらが本当のネッソか分からないなあ」というふわっとした内容で、うーん……。どちらも思考停止で情愛に絡めとられてしまっているのかなあ。
ネッソが一番テンションおかしい、というか唯一異常性を露にしてきたのがこのEDだったんですよね。ずっと重めのシスコンではあるけど、なんだかんだで体面は保っていたんだよなあ。下手に幸せと独占を知ってしまったのがキーになったのかなと思います。
身構えていたほどヤバくはなかった、とは言いましたが、これがgoodというのはやはりまともではない。


・bad
追手から逃れる途中、崖下に転落したふたり。フィオナは無事だったが、ネッソは土砂に生き埋めになってしまう。
必死に土を除けようとするが、全身を掘り起こすには間に合わなかった。フィオナは仲間たちが迎えにきてもネッソが死んだことを受け入れられず、亡骸にすがり続ける。

分かりやすいbad。フィオナが遺体の前から動かない、というところで終わるけど、おそらくザラたちが引きずってでも薬打ってでも連れていくはずだから、まあ生き延びはしたのでしょう。
そもそもフィオナ自身はネッソと恋仲で結ばれているとは思っていないので、その後ネッソに操を立てて他の男性と結婚しないとかもなさそう。少し立ち直ることができれば、それこそザラとかエルザとか……。


■ザラ
元奴隷であるとか、ネッソの従者になる話を蹴ってフィオナ専属になったとか、ここまで知らなかった話がたくさん出てきたルート。
子供の頃はわざと意地悪して、それと知らずに泣きついてくるフィオナを馬鹿だと思っていたという話は普通にコワ……と思いましたけど……。こういう面もあるからネッソの幼馴染としてやってこれていた……?
ザラはとにかく能力面で優秀すぎて、彼がいないと詰んでたなあというシーンが他キャラルートでも多かったですね。ゾディバの特効薬とか、シナリオ根幹に関わってくることですし。


・good
追手に矢を射かけられながらも、なんとか逃げのびたフィオナたち。
ザラはゾディバの特効薬を完成させるが、発症していないフィオナに注射してもそのまま発症が無くなるため、本当に効果があったのかは結局分からない。だからその後もずっと側に居続けて確かめなければ、と二人は笑いあった。

一生見守ってなくちゃね、という言い回しがバカップルじみてて平和……!
後日談で結婚予定してたけど、それもきちんと「結婚の準備をしている」というふうで良いなあと思いました。このゲームでいちばんしがらみとか考えず将来に安心できる。
ネッソがどうするのか気にかかりはしますが、彼がなんとか認められるギリギリラインなんじゃないかなあと信じたい。この二人なら合法的に傍にいることもできるし。子供とかの話になるとちょっと分かりませんけど……。


・bad
逃亡の最後、背後から射られた毒矢によりザラだけが命を落としてしまう。
彼は矢に当たったのが自分でよかった、できればずっとお仕えしたかったと微笑んだ。最期に残したゾティバ抑制薬のレシピにより、ザラは死後もフィオナを守り続ける。

やさしいノーマルエンドという印象。
ネッソもユリアンもきちんと第二の人生を歩み、実質未亡人のように静かに暮らすフィオナを案じていたりと、色々なことが他エンドに比べるとすごくまっとうだなと思いました。



ユリアン
このゲームでいちばん驚かされた人。豹変した瞬間のウワッ感がすごかったです。攻略キャラに「俺はあなたの玩具です」連呼させたりするぅ……?
序盤でなんか喋りかたがたどたどしい?中の人は存じているけどこんな感じじゃないよな?という疑問はあったのですが、その後の演技を聞いて納得。すごい。
彼にどんな道が用意されているのか興味があって、最後の攻略にしました。


・good
追手に向かって王子としての虚勢を張ることに成功したユリアンだが、そこに現れたオージェの言葉で再び心を壊されてしまう。
しかし、フィオナの声で己を取り戻したユリアンは、「もうあなたたちの玩具ではない」と過去に決別。逃げ延びた先、ユリアンは出自ゆえ就職に難儀するが、それでもあなたを養う甲斐性がほしいとぼやきながら、二人は穏やかな生活を噛み締める。

流れは想定できてましたが、自我を取り戻したユリアンにオージェがかつてないほどブチ切れたのにびっくりした……。
なんとなく、アルルに対するメヨーヨの沸騰を思い起こさせました。幼少期に(ユリアンのせいではないが)苦しめられた相手を地に這わせ欠落を満たしていたのに、それを跳ね除けられて激昂したという感じでしょうか。
ユリアンのお話はめちゃくちゃ鬱屈としたシリアスなんですが、それを乗り越えた先が職だの養うだの甲斐性だので、本当に方向性ががくんと変わって笑ってしまった。微笑ましいね……。


・bad
オージェの指示に従いフィオナを引きずっていくユリアンを、思わず突き飛ばしてしまったフィオナ。崖から落ちていく彼は、フィオナのよく知っている、優しい顔をしていた。

同じ時間を過ごしすこしは心が近づいたと思っていたユリアンがあっさりと元の狂気に引き戻されてしまう絶望、その場で危害を加えるのではなく恐ろしい場所にずるずると連れていかれる絶望、結果的にフィオナ自身が手をかけてしまうという絶望、と数分の間にフィオナのメンタルが削れパニックに陥っていくのが見事。
フィオナも壊れて連れ去られてしまうし、もしこの後ネッソザラが助けにきてくれたとしてもなあ……。


・true
国を守るためユリアンと共に王城へ戻ったフィオナは、当然のごとく双子に捕らえられ監禁されてしまう。
日々拷問を受け続けるフィオナを双子のしもべとしてただ見つめているように思えたユリアンだったが、実は有力貴族を味方につけるべく動いていた。
結果見事に双子を追い落とし、国王の座に就いたユリアン。その後双子がどうなったのか、ユリアンが何をしているのか、予感を見ないふりをして、平和な日々を享受しようとフィオナは目を閉じるのだった。

true……これがtrueかあ……!
立場が逆転し、ユリアンが双子を拷問するようになる。双子が今までの報いをまるっと受けるという、ここまで無かったED。滲み出る怨嗟と残虐性が濃くて、ユリアンでこれやるのかあと唸りましたが、彼もまた猫種でしたね。
猫種で王子だけども双子と違って心優しい青年である、という人物像で、「あくまで犠牲者」だったユリアンも、やはり積年の憎悪を抑えることはできず加害者に回ってしまったという点で、悲しく寂しい結末だなあと思いました。まったくもって仕方のないことではあるんですけどね……。

ユリアンがフィオナに告白するシーンのネッソが思いの外普通……というか理性的で驚きました。やっぱりgoodのようにうっかり成就の味を知ってしまわない限りは踏みとどまれる人なんだろうか。


これでBNは全ED回収完了です。
いちばん好きだったのはメヨーヨbadかなあ……。初回プレイ時は猫種はないな……と思っていたので自分でも驚きなんですけど……。
BNは猫種中心のバージョンなのでそこの感想が濃くなりがちでしたが、家族は狼種中心のLHでも攻略できるようなので違いが楽しみです。ちょいちょい出てくるエルザが好きだったので期待。

いき継ぐ -ブラウル WS BN 狼種ルート-

BLACK WOLVES SAGA -Weiβ und Schwarz- 
Bloody Nightmare
狼種ルート(ラス、アルル、ギラン)の感想です。

※ネタバレです


■狼種ルート
孤高の狼たち、悲壮な覚悟と冷徹な意志……みたいな話かと思ったら全然違った。ハートフル嫁入り生活だった。
まあ取り巻く環境が重いので簡単に幸せとは言えないし、最後には壮絶に血と炎とに転がり落ちていくのですが。ちょっとコミカルですらあるほのぼのシーンも、家族と決別したフィオナに対するアルルの気遣いだということがじんわり分かるようになっていました。
それでも仲間に受け入れられ、寄り添っていけるというだけでカルチャーショックです。殺されるだけじゃないんだ、このゲーム!
王国軍が攻めてくるのでフィオナだけでも逃げなさいと言われたとき、自分も残りたいと言い張り続けるのではなく、それによる不利益にきちんと考えが至って身の程を弁えるのがすごく良かった。フィオナ、紛うことなき箱入りお嬢様なのに、こういうところ賢くてすごいぞ。


■ラス
目と目が合った瞬間運命はじまってた枠。
三人とも「この戦いが終わったら迎えにいく」なので死亡フラグがすごい。 ラスの「迎えにいってもいいか……?」という下から具合、個人的に新しくて好き。
人種であるフィオナを信じられたことが嬉しい、という言葉にすべてが詰まっていて、お願いだからこのままハッピーエンド迎えさせてやってくれ……と願うばかりでした。


・good
王国軍が近づく中、数匹の護衛と共に根城をあとにしたフィオナのもとに、オージェが現れる。
駆けつけたラスとともに逃げるが、追い詰められ崖から飛び降りることに。命を取りとめた二人は、自分たちだけでも狼種の歴史を伝えるため逃げ延びる道を選ぶ。

その後どうなったんだろう……と不安でならなかったのですが、スペシャルシナリオ読むとちゃんと生きているようでよかった……。猫種ルートやった後なので迂闊に信用できなくなっている。
でも無事逃げられたとしても、体の弱いロベイラ種が逃亡生活に耐えられるのだろうか、ザラの残してくれた薬もやがては尽きてしまうだろうし……とやっぱり不安要素も多い。メリバってやつなんでしょうか。


・bad
ひとり洞窟へ逃げ延び、共に逃げた狼種たちのゾディバを癒したフィオナだが、やがて自身もゾディバを発症。
手を尽くすが進行は止まらず、ある日高熱を出したフィオナは黄金の光のなかにラスの幻を見る。

何だかんだ、フィオナがゾディバで死ぬ可能性があるのって狼種ルートだけ……?猫種ルートは特効薬できるし、家族ルートはまだやってないけどザラいるしなあ。
最後にずっと帰りを待った相手の幻影を見て死ぬ(おそらく)という、これもまたメリバ系ですかね。ラスはどうにも哀切な空気になってしまうな……。 
フィオナは心残りはあるけれど自分の果たした役割に満足してもいて、救いはあるほうだと思います。幸せそうだけど不安が残るのがgood、悲しいけれど満たされているのがbadという印象でした。


■アルル
フィオナのようなお綺麗(すぎる)な育ちの人間を、よりによってアルルのような犠牲の根幹にいる人物が、「だから自由で美しい」「オマエだけが猫種と狼種の憎悪の輪の外にいる」と評するの、すごいなと思いました。その純白さを知るほどに恨んでもおかしくないのに、アルルの魂は高潔な騎士のままだ。
なにしろ昔愛したひと、人生の転換点となった女性に似ている、という前提があるので、もっと苦悩するのかと予想してましたが、その点の迷いはほぼなかったですね。それ混ぜる方がおかしいだろと言わんばかりにすっぱり割り切っていた。

実はフィオナが家族のもとに戻りたくなったときのための選択肢もずっと残していたアルル。それはある種フィオナの信頼への裏切りでもあると思うのですが、それに至る彼の優しさや身内への甘さをすべて理解したうえで「いいえ、私の家族はあなたたち」と言い切るフィオナが強くて美しくて、そりゃあアルルも惚れてしまうよなあ。
フィオナもアルルもかっこよかった。乙女ゲーでしたねえ……。


・good
瀕死のアルルは最後の力を振り絞り、メヨーヨとオージェを喰い殺した。
ラスも伴い逃げ延びたフィオナとアルルは多くの子供を産み、幸福な日々を送る。王を失った国は未だ混乱の中にあるが、先の世代でいつか狼種と他種族が手を取り合う未来を子孫たちに託すのだった。

むちゃくちゃにハッピーすぎて、エンドロール終わるまで夢落ちを警戒していた。子沢山だわ吸血プレイだわ……。
エンディングも長かった気がするんですよね。これがメインシナリオか……?
悲しかったのはギランが死んでしまったこと。正直アルルとラスも王国軍と相討ちになると思っていたので生き残ったのは嬉しかったんですが、ギラン……。
ただこのエンドだとたぶんゾディバの特効薬ができてないんだよなあ。もちろん手段を伝えることができれば将来的には可能ですが、一掃には時間がかかるというところでしょうか。
逆に言うと、狼種はフィオナの血でゾディバを癒し抗体を身につけていくので、病に疲弊する他種族を蹴落として狼種が頂点に君臨する未来がなくもないわけだ……。

双子が死ぬのはじめて見ましたね。オージェが今までで一番狂っていた気がします。どこか死に焦がれている部分があったんだろうか……。


・bad
洞窟へ逃げ延びたフィオナは、連れ合った狼種たちとコミュニティを再生し、慎ましく平和な生活を送っていた。 
しかし近隣の村人の密告により、メヨーヨとオージェは森を焼き討ちに。アルルたちは生きているかもしれないという希望も潰え、フィオナは再び拐われてしまう。

仲間を目の前で殺される、アルルたちの全滅を首という形で見せつけられる、狼種の歴史を語り継ぐこともできない、と考えうる限り最悪の終幕。まあ、こうなりますよねえ……。
メリバとかぬるいこと言ってんなよ、真のbad end見せてやるぜ、狼種側でbadを迎えるというのはこういうことだ!という気概を感じました。フィオナへの感情がどうとかではない、根本的なバッドエンド。
ちょっとメヨーヨに心を向けていたのにこれだ……。やっぱり双子はだめだ……このままツインバッドだ……。
森で暮らすフィオナ、かなり魔女っぽくて素敵だったんだけどなあ。


■ギラン
ブラウルはラブコメだった……?
ギラン、かわいかったですね……。本来オージェみたいな子に求められるであろう「慕っていた人が後から現れた他の人間に構うのが気に入らなくて吠える」「基本意地悪だったり荒っぽかったりするけど悪い子じゃない」的な属性を代わりに背負ってくれてたような。
そしてメヨーヨと同じお前は俺のもの論だけどその全てが善いほうに向かう。
共通シナリオで無邪気な残虐性を担うキャラな割に個別イベントが平和なので、どこかで手酷く殺されるのではと心配していたのですが、そんなこともなく。
破天荒なかわいい恋愛、最後は一転して凛々しく誇り高い狼種と、いい意味で予想外の展開でした。


・good
ラスbadやアルルbadと同じく洞窟で暮らすフィオナのもとに、ギランが迎えにやってくる。
ギラン自身の世界を広げるため、アルルの遺志を継ぎ狼種の真実を伝えるため、二人はラスに生き残りの狼種たちを託し旅に出ることに。

狼種bad恒例の洞窟暮らしかと思いきや、一人だけgoodかっさらっていった……。
ひたすらに爽やかでしたね……序盤の快楽殺人キャラはなんだったのか……?
世界を広げる、というお話は好きなので良かったのですが、欲を言えばラスにも一目会わせてあげたかったなあ!


・bad
逃げる途中ギランと再会するも、その体はひどい怪我を負っていた。
死を悟ったギランは最期にフィオナの喉を食い千切り独占を遂げながら、ここまで会いにきたことを褒めてほしいとねだる。

……フィオナが納得してるのでセーフ!
一緒に死ぬの、ありそうでなかったな……!
独占欲、褒められたがりの構われたがり、というギランのキーワードを煮詰めたEDでしたね。


・true
洞窟で一時的に身を潜めるフィオナたちのもとに、アルルの死を見届けたギランが帰ってくる。
ギランは狼種の王を継ぐことを宣言し、失意に暮れる仲間を奮い立たせるのだった。

アルルの後継者になる展開はラスがやると思っていたのでびっくりした。
決意もめちゃくちゃ格好よくて、最後にまたがらりと印象が変わりました。


以上です。
狼種ルート、もっと殺伐としてると予想してたので、ほんと全体的に意外でした。穏やかさのうしろにある諦感かなあ。
アルルはかっこいいですねえ。正直好みではなかったギランも最後には随分愛おしくなりました。ラスにもっと踏み込むのはLHなんだろうな~。
次は最後の人種ルート。今のところ普通に好きなリジェ特有の兄……どうなるか……楽しみですね!

何もかもここにはなく -ブラウル WS BN 猫種ルート-

BLACK WOLVES SAGA -Weiβ und Schwarz-
Bloody Nightmare
猫種ルート(メヨーヨ、オージェ)の感想です。
PCとPSPで発売された2つのゲームを1本にまとめたVita移植版で、トップ画面でそのどちらかを選んでプレイする形式。
キャラごとに記事書くつもりでしたが、種族ルートほぼ共通なのでこの形で。

※ネタバレです


■猫種ルート
種族ルートに入るときのムービーに羽の散った鳥籠が描かれていて、ようやくこのゲームで猫種が強い立場に設定されている理由がわかりました。鳥籠の鳥を引きずり出して襲うのは猫だから、なんですね。
あまりのキチガイぶりに、なぜ攻略しなければならないのか?と何度か虚無に。救いはないよと散々噂で聞いていたのでそのぶん気は楽だったかもしれません。結局メヨーヨのことはけっこう好きになってしまったんですけど……。
狂気の共依存、永続の鏡合わせ、とみせかけて、実際のところはそうでもなかったなあと思うんですよね。メヨーヨは自分を守るのに必死で、オージェは自分の快楽しか追っていない。何だかんだ片方がいなくなっても普通に生きていけそうなのが不思議な塩梅でした。
ただまあ、母親が毒親すぎて……。彼女が被害者であり、追い詰められて病んでいたのはわかる、分かるんですが、やっぱり双子が完全に壊れるきっかけはそれまでの周囲の仕打ちより母親の自殺幇助だと思うので……。 この点においてはメヨーヨもオージェもひたすらにかわいそう。
双子が狂気をひけらかすたびにそのトラウマを思い出してちょっと憐れみがうまれそうになりましたが、途中でネッソが言い放った「お前らの悪夢に俺達家族を巻き込むな」が正論すぎて笑ってしまいました。その通りだよ。以降流されそうになるたびにこの台詞を思い返して正気に戻っていた。ありがとうネッソ。

CCKもっと見たかった~!
かわいいねずみだけど、双子の幼少期から一部始終を見ており、遺体処理なんかの汚れ仕事もやってて、なお狂気に染まった様子なく平凡な葛藤を残しながらメヨーヨに忠実に仕えている感じが気になります!レオニダスいとしい。

以下、キャラ個人とEDの感想。
見た順はメヨーヨgood→オージェbad→メヨーヨbad→オージェgood→Twin good→Twin bad
です。


■メヨーヨ
大概残虐な行為をはたらくわりに、フィオナに対する仕打ちに性的なものがまるでなくて、なぜか心配になってしまった。これが一応R指定つかない乙女ゲーだからなのか、それとも彼にそのへんの情緒が育ってないからなのか……。元のPC版ではもっとキッツいんでしょうか。
アルルとの因縁は、酷い奴だと怒ることも、なんて愚かなんだと呆れることもできなかった。その後の狼狩りはだめですが、エルヴィラを殺してしまうまでの顛末は、メヨーヨあんまり悪くない……悪くなくない……?
私もコンプレックスとプライドを拗らせている人間なので、ここでちょっと同情がうまれてしまった。まあどんなにかわいそうでも完全なる彼の勝手な事情であって、周りがそれに付き合う義理は全くないんですけどね!

昔は普通に尊敬してたよ、この憎悪の対立劇はオマエの一人相撲だよとメヨーヨに呪いを残すアルルよかったですね!
メヨーヨが救われないのは自分のものを奪われ自意識を傷つけられたからではなく、もっと根底にあるコンプレックスのためであり、その象徴であるアルルを殺すのと引き換えに顔に傷を負ったメヨーヨの心に永遠に平穏は訪れない、という結論、めちゃくちゃ好き!
アルルがメヨーヨを殺さず片目を抉ったのは彼をより苦しめるためということだったけど、ラスの意趣返しでもあるんだろうなあ。
ギランがラスを逃がすシーンはやっぱりメヨーヨとアルルの結末を経たほうがぐっとくるので、先に見てよかったですね。ひとり逃げるラス、美しかった。


・good
アルルを殺し狼種を国から一掃した後、憑き物が落ちたように良き王となったメヨーヨからただただ優しくされるフィオナ。これがメヨーヨの本来の姿なのかもしれない、と迷いと少し慈しみをも見せる。

フィオナに子供産ませて第二の自分にするつもりかと思いましたがそんなことはなかった。わたしが胸糞脳なだけだった。
終わらない錯乱みたいなEDになるかと思ったけど、思いの外穏やかな終わりかたでしたね。いや不穏なんだけどね。ノーマルED臭がすごいけどグッドEDですからね。
アルルの呪いはメヨーヨの中に燻りつづけるのだろうし、フィオナのいうように僅かでも逃れる素振りを見せれば豹変するのでしょうけど、それでも覚悟していたほど悪くないなと思ってしまった。調教されている……。

最後までフィオナに僅かのときめきも親愛の揺らぎも生じなかったメヨーヨ。ED後ゆっくりと愛のようなものが芽生えてきたりするんでしょうか。スペシャルシナリオ読んだら子供ができてもなお愛より執着、けれど以前よりはまし、ぽかったですが……。
でもこれ絶対オージェがぶっ壊しにくるよね?という警戒感が拭えない。メヨーヨもそれを分かっていて彼をあちこちに飛ばして仕事させているのでは。
さすがのオージェもいまフィオナに手を出したら信用を失うのは明らかだし、メヨーヨがフィオナに執着している限りは希望はある……?
でも落ち着いたメヨーヨを再び壊そうと思ったらやっぱりフィオナをどうこうするのが有効だろうし……オージェならうまくやるだろうし……というかあいつメヨーヨに殺されたがってるから何も安心できないな……。
(ここまでオージェ攻略前に書いたのですが、あらゆる意味でそれどころじゃなかったですね)
いろいろと薄暗い、穏やかだけど綱渡りのようなEDでした。


・bad
アルルにつけられた傷が悪化し、死に瀕するメヨーヨ。看病をするフィオナには「お前は俺のものだと繰り返されるばかりで答えを求められず、一方通行なのがさみしい」「自分にはもうメヨーヨしかいない」とすがるような気持ちがうまれる。
メヨーヨの死後、オージェから「どうでもいい」と解放されたフィオナは窓枠に足をかけ、唯一自分を待っていてくれる人のもとへ……。

……純愛、だった気がする……(錯乱)。愛っぽいものが……うまれていた気がするんだ……どうして死んでしまったんだメヨーヨ……いやでもそもそもはメヨーヨが元凶で……いや……?
どうでもいいならどうして放っておいてくれなかったの、というフィオナの言葉がしんどかった。本当にそれ。彼女は双子に運命を弄ばれるだけ弄ばれて放り出されたのだ、という印象が強く残る独白でした。
それでもなぜか、goodよりは、メヨフィはアリ、という気持ちになってしまったんだよな……。goodとbad両方見たら聞けるボイスで「俺のものだということを一生忘れず永遠に生き続けろ」とか言うんですけど、その声も優しいんだもん……。
この後のオージェはどうしたんだろう。唯一、彼が嫉妬……羨ましがる?かもしれないEDだと思いました。


■オージェ
メヨーヨを狂わせているのはオージェであり、真にヤバイのは彼のほうである、というのはプレイヤーには序盤で明かされるし、二人きりのシーンなんかも多いので印象はエグいくらい残るんですが、実はフィオナとそんなに関わってないんですよね……。
フィオナも一応この人けっこう怖い人なのでは……と感づいてはいますが、それも夢の中の話だし、ユリアン殺しまでは本当にメヨーヨの影なんだよなあ。
兄に対する愛がめちゃくちゃ難しいな……と思いました。好きだからおもちゃにしている、と、楽しませてくれるおもちゃだから好き、の境目が曖昧なように感じた。
顔に同じ傷をつけられて歓喜するイベントと「兄さんに殺されるなんて最高」のインパクトが強くて、彼にとってのハッピーエンドはサイコーの兄に殺されることだと思ってたんですが、そうでもなかったんですよね……。メヨーヨは相手が思い通りにならないと切れるタイプですが、オージェは急にふつりと興味をなくすタイプなのかなあ。
フィオナに対する「特に面白味のない女なのに兄さんに執着されてるから嫌い」というスタンスもあまり一貫してなくて、訳わからなさに拍車をかけていた。なんか……嫌いというほどの感情も向けてなかったよね……!?


・good
憎しみのやり場を失くしフィオナを再び拷問するメヨーヨを見かね、オージェは彼女を労るようになる。しかしそれがメヨーヨに露見し殺されそうになったため、やむなく兄を手にかけることに。
オージェを許すことはできないが国のために彼を支えることはできる、と決意したフィオナは愛の言葉を交わすが……。

グッド 意味 検索

こ、こ、殺されとるやないかい!ぼかされてるけど!badを先に見て、じゃあgoodはメリバかな~と思ってたので本当にびっくりした!!
エンドロール後の一言、いいですね……。いやよくはないけど、演出として……。
フィオナもオージェの異常性は分かっているはずなのに絆されてしまって、もう!もう!というもどかしさがありましたが、あの状況で優しくされたらそりゃあね……。兄弟というのはフィオナも人一倍重きを置いてきた関係ですし、兄を想って涙ぐむ姿を見せられたら、まあ、そりゃあね…………。
しかしまあこのオージェ、本当に楽しかったんだろうか?騙されてるフィオナを見るのは痛快だっただろうけど、殺してしまったら終わりだもんな。そう考えると殺してないんだろうか……?殺される一瞬の絶望顔が見られたらそれで満足なんだろうか……。
とかぐるぐる考えていたんですが、スペシャルシナリオで普通に殺されていたことが判明。そ、そう……特にその後の予定があるわけじゃないのね……気まぐれなのね……。


・bad
狼狩りを果たした後、きちんと治世しながらも心は脱け殻になってしまったメヨーヨ。オージェはそんな兄に興味をなくし、殺してフィオナを手篭めにする。
産まれた子供はどちらが父親かわからないが、オージェにとって用無しとなったフィオナもまた殺されてしまう。そして子供はオージェの新たなおもちゃに。

メヨーヨgoodで頭をよぎった胸糞展開に近いというか……メヨーヨは私が思うよりやわく、オージェは私の想像を越えてイカれていたというわけだ!
メヨーヨが腑抜けてしまったらまた狂わそうと動くと思ったのですが、あっさり殺してしまうとは。うーん。計りかねる。
父親がどちらか確かめる術はもう無いけども、たぶんメヨーヨじゃないかなあ……。オージェの息子だったらほんとうに自分の代理になってしまうし、それはオージェの楽しみ方とはちょっとずれるんじゃないかと。愛した兄メヨーヨの息子であるほうが、彼にとっては楽しいんじゃないですかね。
次世代ということで思い出されるのが生き残ったラス。彼が自ら復讐に出るとは考えづらいけれど、こういった戦いは一族郎党皆殺しが鉄則ですから……。殺し漏れがいる限り、オージェに嗅ぎつけられて再びの争いへ仕向けられる未来を想像してしまうよなあ。
メヨーヨgoodからこれに移行してもおかしくないという点でも罪の重いED。


・Twin good
穏やかな日々を送るメヨーヨとフィオナ、二人にちょっかいをかけて楽しそうに笑うオージェ。
家族はみんなきっと国外で平和に暮らしている。優しい夫と二人の子供に恵まれ、私は幸せなのだと微笑むフィオナの頬にはなぜか涙が伝うのでした。

記憶に蓋をして、見ないふり知らないふりで全てを諦め庭園の小鳥になるエンド。
物理的にはいちばん幸せな気がしますが、どうだろう。フィオナが双子の母親のことを知るのもこのエンドだけなので、光は見える気がするんです、が、子供がな……。
猫種の女の子と人種の男の子ということで、人種は王位を継げないからそのうちいなくなるのだろうなとフィオナは考えていたけど(その思考ももうアレ)、女の子もどうなんだ……。継げるのかな……?
オージェはこのED退屈してると思うんですが、大人しくしてるのはやっぱり子供について何か企んでるんだろうなと勘ぐってしまうよなあ。


・Twin bad
自分の選択の結果家族は殺されたと思いつめ、罰を欲するフィオナ。
今では地下室で双子に鞭打たれる痛みだけが罪悪感を癒し、自我の境界を保つ。

分かりやすい理論のbad。フィオナの「もッとォ……!」が悲しかった。あんなに清い子だったのに……。
いつ飽きられるか分からないあたりが更に気が重い。


以上です。噂に違わず特殊な、それはもう特殊なお話でした。攻略できない攻略対象の意味を理解。
一通りの流れを見てユリアンを最後にしようかな~と思ったので、次は狼種ルートにいきます。