散漫

乙女ゲームの感想を書きます

いき継ぐ -ブラウル WS BN 狼種ルート-

BLACK WOLVES SAGA -Weiβ und Schwarz- 
Bloody Nightmare
狼種ルート(ラス、アルル、ギラン)の感想です。

※ネタバレです


■狼種ルート
孤高の狼たち、悲壮な覚悟と冷徹な意志……みたいな話かと思ったら全然違った。ハートフル嫁入り生活だった。
まあ取り巻く環境が重いので簡単に幸せとは言えないし、最後には壮絶に血と炎とに転がり落ちていくのですが。ちょっとコミカルですらあるほのぼのシーンも、家族と決別したフィオナに対するアルルの気遣いだということがじんわり分かるようになっていました。
それでも仲間に受け入れられ、寄り添っていけるというだけでカルチャーショックです。殺されるだけじゃないんだ、このゲーム!
王国軍が攻めてくるのでフィオナだけでも逃げなさいと言われたとき、自分も残りたいと言い張り続けるのではなく、それによる不利益にきちんと考えが至って身の程を弁えるのがすごく良かった。フィオナ、紛うことなき箱入りお嬢様なのに、こういうところ賢くてすごいぞ。


■ラス
目と目が合った瞬間運命はじまってた枠。
三人とも「この戦いが終わったら迎えにいく」なので死亡フラグがすごい。 ラスの「迎えにいってもいいか……?」という下から具合、個人的に新しくて好き。
人種であるフィオナを信じられたことが嬉しい、という言葉にすべてが詰まっていて、お願いだからこのままハッピーエンド迎えさせてやってくれ……と願うばかりでした。


・good
王国軍が近づく中、数匹の護衛と共に根城をあとにしたフィオナのもとに、オージェが現れる。
駆けつけたラスとともに逃げるが、追い詰められ崖から飛び降りることに。命を取りとめた二人は、自分たちだけでも狼種の歴史を伝えるため逃げ延びる道を選ぶ。

その後どうなったんだろう……と不安でならなかったのですが、スペシャルシナリオ読むとちゃんと生きているようでよかった……。猫種ルートやった後なので迂闊に信用できなくなっている。
でも無事逃げられたとしても、体の弱いロベイラ種が逃亡生活に耐えられるのだろうか、ザラの残してくれた薬もやがては尽きてしまうだろうし……とやっぱり不安要素も多い。メリバってやつなんでしょうか。


・bad
ひとり洞窟へ逃げ延び、共に逃げた狼種たちのゾディバを癒したフィオナだが、やがて自身もゾディバを発症。
手を尽くすが進行は止まらず、ある日高熱を出したフィオナは黄金の光のなかにラスの幻を見る。

何だかんだ、フィオナがゾディバで死ぬ可能性があるのって狼種ルートだけ……?猫種ルートは特効薬できるし、家族ルートはまだやってないけどザラいるしなあ。
最後にずっと帰りを待った相手の幻影を見て死ぬ(おそらく)という、これもまたメリバ系ですかね。ラスはどうにも哀切な空気になってしまうな……。 
フィオナは心残りはあるけれど自分の果たした役割に満足してもいて、救いはあるほうだと思います。幸せそうだけど不安が残るのがgood、悲しいけれど満たされているのがbadという印象でした。


■アルル
フィオナのようなお綺麗(すぎる)な育ちの人間を、よりによってアルルのような犠牲の根幹にいる人物が、「だから自由で美しい」「オマエだけが猫種と狼種の憎悪の輪の外にいる」と評するの、すごいなと思いました。その純白さを知るほどに恨んでもおかしくないのに、アルルの魂は高潔な騎士のままだ。
なにしろ昔愛したひと、人生の転換点となった女性に似ている、という前提があるので、もっと苦悩するのかと予想してましたが、その点の迷いはほぼなかったですね。それ混ぜる方がおかしいだろと言わんばかりにすっぱり割り切っていた。

実はフィオナが家族のもとに戻りたくなったときのための選択肢もずっと残していたアルル。それはある種フィオナの信頼への裏切りでもあると思うのですが、それに至る彼の優しさや身内への甘さをすべて理解したうえで「いいえ、私の家族はあなたたち」と言い切るフィオナが強くて美しくて、そりゃあアルルも惚れてしまうよなあ。
フィオナもアルルもかっこよかった。乙女ゲーでしたねえ……。


・good
瀕死のアルルは最後の力を振り絞り、メヨーヨとオージェを喰い殺した。
ラスも伴い逃げ延びたフィオナとアルルは多くの子供を産み、幸福な日々を送る。王を失った国は未だ混乱の中にあるが、先の世代でいつか狼種と他種族が手を取り合う未来を子孫たちに託すのだった。

むちゃくちゃにハッピーすぎて、エンドロール終わるまで夢落ちを警戒していた。子沢山だわ吸血プレイだわ……。
エンディングも長かった気がするんですよね。これがメインシナリオか……?
悲しかったのはギランが死んでしまったこと。正直アルルとラスも王国軍と相討ちになると思っていたので生き残ったのは嬉しかったんですが、ギラン……。
ただこのエンドだとたぶんゾディバの特効薬ができてないんだよなあ。もちろん手段を伝えることができれば将来的には可能ですが、一掃には時間がかかるというところでしょうか。
逆に言うと、狼種はフィオナの血でゾディバを癒し抗体を身につけていくので、病に疲弊する他種族を蹴落として狼種が頂点に君臨する未来がなくもないわけだ……。

双子が死ぬのはじめて見ましたね。オージェが今までで一番狂っていた気がします。どこか死に焦がれている部分があったんだろうか……。


・bad
洞窟へ逃げ延びたフィオナは、連れ合った狼種たちとコミュニティを再生し、慎ましく平和な生活を送っていた。 
しかし近隣の村人の密告により、メヨーヨとオージェは森を焼き討ちに。アルルたちは生きているかもしれないという希望も潰え、フィオナは再び拐われてしまう。

仲間を目の前で殺される、アルルたちの全滅を首という形で見せつけられる、狼種の歴史を語り継ぐこともできない、と考えうる限り最悪の終幕。まあ、こうなりますよねえ……。
メリバとかぬるいこと言ってんなよ、真のbad end見せてやるぜ、狼種側でbadを迎えるというのはこういうことだ!という気概を感じました。フィオナへの感情がどうとかではない、根本的なバッドエンド。
ちょっとメヨーヨに心を向けていたのにこれだ……。やっぱり双子はだめだ……このままツインバッドだ……。
森で暮らすフィオナ、かなり魔女っぽくて素敵だったんだけどなあ。


■ギラン
ブラウルはラブコメだった……?
ギラン、かわいかったですね……。本来オージェみたいな子に求められるであろう「慕っていた人が後から現れた他の人間に構うのが気に入らなくて吠える」「基本意地悪だったり荒っぽかったりするけど悪い子じゃない」的な属性を代わりに背負ってくれてたような。
そしてメヨーヨと同じお前は俺のもの論だけどその全てが善いほうに向かう。
共通シナリオで無邪気な残虐性を担うキャラな割に個別イベントが平和なので、どこかで手酷く殺されるのではと心配していたのですが、そんなこともなく。
破天荒なかわいい恋愛、最後は一転して凛々しく誇り高い狼種と、いい意味で予想外の展開でした。


・good
ラスbadやアルルbadと同じく洞窟で暮らすフィオナのもとに、ギランが迎えにやってくる。
ギラン自身の世界を広げるため、アルルの遺志を継ぎ狼種の真実を伝えるため、二人はラスに生き残りの狼種たちを託し旅に出ることに。

狼種bad恒例の洞窟暮らしかと思いきや、一人だけgoodかっさらっていった……。
ひたすらに爽やかでしたね……序盤の快楽殺人キャラはなんだったのか……?
世界を広げる、というお話は好きなので良かったのですが、欲を言えばラスにも一目会わせてあげたかったなあ!


・bad
逃げる途中ギランと再会するも、その体はひどい怪我を負っていた。
死を悟ったギランは最期にフィオナの喉を食い千切り独占を遂げながら、ここまで会いにきたことを褒めてほしいとねだる。

……フィオナが納得してるのでセーフ!
一緒に死ぬの、ありそうでなかったな……!
独占欲、褒められたがりの構われたがり、というギランのキーワードを煮詰めたEDでしたね。


・true
洞窟で一時的に身を潜めるフィオナたちのもとに、アルルの死を見届けたギランが帰ってくる。
ギランは狼種の王を継ぐことを宣言し、失意に暮れる仲間を奮い立たせるのだった。

アルルの後継者になる展開はラスがやると思っていたのでびっくりした。
決意もめちゃくちゃ格好よくて、最後にまたがらりと印象が変わりました。


以上です。
狼種ルート、もっと殺伐としてると予想してたので、ほんと全体的に意外でした。穏やかさのうしろにある諦感かなあ。
アルルはかっこいいですねえ。正直好みではなかったギランも最後には随分愛おしくなりました。ラスにもっと踏み込むのはLHなんだろうな~。
次は最後の人種ルート。今のところ普通に好きなリジェ特有の兄……どうなるか……楽しみですね!